欠落を埋めつくす
最近、自分の言葉が貧しくなったと、とみに思う。もともと女の子がお手玉を交互にあげるような、そんな二つや三つをもてあそんでいたのだから、今更取り立てて思うことでもないのだが、例えば読んでいた本のこんな文書に出くわすと、たかがブログであろうとも文章を書くことに逡巡してしまう。
「物質的な喜びは精神的な喜びの欠落を埋めることはできない。反して、精神的な喜びは、いともたやすく物質的な喜びの欠落を埋めつくす」と。
子供の作文のように稚拙な、時としてそれ以下の文章を書いてしまう自分がつくづく情けない。たとえ三十分足らずでも、こんなことを書いている暇があるのなら、何か他のそれこそ腹筋運動でもしていたほうが益しなのではないかと揶揄したくなる。
さてその「物質的な喜び」というのはよく解る。いともたやすく欠落を埋めつくすということには思わず膝を打ちたくなる。しかし「精神的な喜び」となると、恋か、趣味か、仕事の達成感か、友との語らい、あるいは賢人の教えを拝聴することか、とポタリポタリと幾つもの雨垂れが落ちてくる。ただし「精神的な喜び」というのは確かにある。
広げた新聞には「残業を命じられたらデートをやめて仕事をする」と答えた今春の新入社員が八割以上もいるとある。そうだ、当り前だ、俺だって若い頃はそうだった。のではあるが、日本の経済成長がもう曲がり角に来ているのも事実である。上司よ、「精神的な喜びは、いともたやすく物質的な喜びの欠落を埋めつくす」ことを知っている先輩よ、そろそろステレオタイプの自分とは決別したらどうだろうか。
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